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岡田信一郎のバリ土タイル

 仁愛大学(福井県越前市)


ヴォーリズの使ったのと同じバリ土タイルです。色の違う土を混ぜ合わせて作っています。今のようにトロトロになるまで混ぜ合わせずに、ある程度粒子の粗い状態で成型します。ですから近くで見ると、色の違う土の粒が残っているのが分かります。現在の製法の確立するまでの過渡的な技術とも考えられますが、そのことで色の変化のあるおもしろいタイルができあがります。このタイルは昭和10年前後に爆発的に流行しました。階段廻りに使われることが多いのは、粒のあらい表面が滑りにくいからでしょう。旧琵琶湖ホテルの床には、このタイルが矢はず貼りになっていました。それをモデルにして復元しました。この復元タイルは大阪の八軒家浜(はちけんやはま)プロジェクト(2009年竣工)でも採用されました。


このタイルは2009年8月オープンの八軒家浜にぎわい施設に採用されました。この施設は大阪のウオーターフロント開発の中心的な施設で、ここから中ノ島や道頓堀めぐりの船が発着します。矢はず貼りの「矢はず」とは矢羽の図案化ですが、旧琵琶湖ホテルのホールのタイルを見ていると、琵琶湖のさざなみをイメージしていたように見えます。八軒家浜は熊野古道の起点となった港です。さざなみ模様がふさわしいと思います。


  旧琵琶湖ホテル

< 製作データ >

オリジナル 旧琵琶湖ホテル(滋賀県大津市)/岡田信一郎設計/1934年竣工/太田は瀬戸(愛知県)の工房群と推定
復元タイル 磁器質タイル/46x21x6/2009年復元/



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